「これはこれは、」
驚きに目を見張る久秀様を見下ろしてわたしはしてやったりと笑みを深くした。貞淑な妻を務めていたわたしがまさかこのように男性の上を跨る破廉恥な行為に及ぶとは、久秀様と言えど想像もつかなかったであろう。
「今夜はどういった趣向かな?私はどちらかというと君の上にお邪魔したいところだが」
「あら、欲望のままに求める、それがあなた様の信念でしょう。実践してみたまでのことですわ」
「…いやはや」
くつくつとおかしそうに久秀様は額に手をやって笑い始めた。なんとなくむっとしてその顔を隠す手を振り払おうとしたところ逆に掴まれてしまう。そのまま立場は逆転し、気づけば楽しそうに笑う久秀様のお顔と高い天井。
「然らば私も君に習うとしよう」
襟の隙間から乳房を弄るように無骨な手が這いずり回る。それに顔を顰めつつも快感からは逃れられぬ。どうしてこの人の行動はわたしを淫らに落としてしまうのか。意趣返しに夜這いをかけても結局は叶わないのが悔しい。
「ほら、可愛く囀るがいい」
「意地悪な久秀様」
「ふ…、苛烈、苛烈。こんなに優しい亭主はどこにもいないと思うがね?」
腿の辺りを魅惑に撫で付ける夫にため息をついてわたしは全ての主導権を彼に委ねたのであった。
(100430)
あまりにも捧げるものがひどいのでもう一度書き直したらなぜかこうなった。夜って怖いね、めーちゃん!